医療現場のニーズと工学シーズをつなげる情報通信
東北大学大学院医工学研究科|研究紹介ニュースレター
No.24
MAY 2026 — Graduate School of Biomedical Engineering, Tohoku University
Event Report

令和7年度学位記伝達式
及び総長賞・研究科長賞授与式

令和8年3月25日(水)午後2時からサイエンスキャンパスホールで「令和7年度学位記伝達式及び総長賞・研究科長賞授与式」が挙行され、修了生、指導教員等あわせて約60名が出席しました。

式では、前期2年の課程修了者41名と後期3年の課程修了者6名に西條研究科長から学位記が伝達されました。また、曽根一輝さんに総長賞、PHUNRUANGSAKAO CHATRINさん、島野大輝さんに研究科長賞が授与されました。西條研究科長のあいさつの後、総長賞、研究科長賞受賞者の3名から修了生の言葉があり、記念撮影が行われました。

その後も和やかな雰囲気のなか交流が行われ、午後3時30分頃散会となりました。修了生の皆様の今後のご健勝とご活躍を心より祈念しております。

◇ 式典の集合写真は本誌PDF版でご覧いただけます
RESEARCH 01
治療医工学講座|生体電磁エネルギー研究分野

磁気の見えない力を
医療に生かす

薮上・桑波田・青木(英)研究室は、「磁気」という目に見えないところへもリモートでアクセスできるエネルギーを自在に操り、医療やヘルスケアの未来を創造する研究室です。電気工学、磁気工学の技術とバイオデザインを組み合わせ、「医療現場で何が必要とされているか」というニーズの探索から、実際の診断・治療に役立つ「生きた技術」を医学部や病院と連携し開発しています。

磁気加熱:磁性ナノ粒子や金属に外部から磁界を印加し、ピンポイントで加熱・治療する次世代システムの開発。磁気ハイパーサーミア(がん治療)や脳動脈瘤塞栓等へ応用しています。

バイオセンシング:抗原抗体反応による磁性ナノ粒子や生体活動による微弱磁界を評価するセンサの開発。リンパ節転移の迅速診断、生体磁気計測、口腔細菌評価と健康チェックへ応用します。

高精度磁気マーカー探索:カテーテル手術中のカテーテル誘導やホールドによる高精度な磁気誘導ナビゲーションシステムを構築します。

薮上 信 Yabukami, Shin
教授
web.tohoku.ac.jp/biomag.eng →
カテーテルを見えない磁気の力で誘導するイメージ図
加速器で生成した量子ビームによるRI製造の模式図
RESEARCH 02
計測・診断医工学講座|医工放射線情報学分野

量子ビームが切り開く
新しい医療

私が所属する先端量子ビーム科学研究センター(RARiS)はサイクロトロンと電子線形加速器という2台の加速器を所有し、異なる“量子ビーム”でさまざまな放射性物質(RI)を製造できます。加速器で作られたRIを用いた、診断と治療を融合させた新しい医療が「セラノスティックス」です。

特に、近年は、アスタチン(At-211)やアクチニウム(Ac-225)など、飛ぶ距離が極めて短く強力な細胞殺傷能力を持つα線を放出する核種を用いた治療が世界的に注目されており、正常組織へのダメージを抑えつつ高い治療効果が期待されています。

本研究分野では、医用イメージング装置の開発、コンピュータシミュレーションによる診断データや治療計画の最適化に向けた技術開発、放射線による外部被曝・内部被曝の線量評価、新規薬剤の動態解析、効果判定法の開発など、さまざまな医工学的なアプローチを用いたセラノスティクス研究をしています。

渡部 浩司 Watabe, Hiroshi
教授
www.raris.tohoku.ac.jp →
RESEARCH 03
医療機器創生医工学講座|生体機能創成学分野

Biomimetic Manufacturing
~機能を持つ新たな界面創り~

我々が持つ「もの」の表面を超精密に加工する技術に、生物の進化(バイオミメティクス)を加えることで、もともとその「もの」が持ちえない特殊な機能を付加する新たな界面創りを進めています。

例えばレーザを使った加工では、条件によって親水と撥水を変化させる濡れ性の制御を可能にしています。また、それを応用して撥水性ならぬ撥血性(血をはじく機能)、あるいは耐“焦げ付き”性を獲得することに成功しています。

テーラーメイドのインプラント(人工骨、骨固定材など)作製技術などで期待される3Dプリンターでは、その造形プロセスで生じるミクロな現象を解明し、それを応用して弾性率制御、細胞親和性、抗菌性といった機能を付加する、革新的なプロセスの開発にも取り組んでいます。また最近では「微細な気泡(ナノバブル)」を援用することで、加工する「もの」の対象を細胞、細菌、皮膚、組織などに拡げたユニークな界面創りにも挑戦しています。

水谷 正義 Mizutani, Masayoshi
教授
mmlab.mech.tohoku.ac.jp →
接触角の変化で示す親水〜撥水表面の制御