治療医工学

治療医工学講座では,治療に用いられる方法の開発とその基礎となる理工学,それらを用いた基礎医学研究ならびに臨床応用に関する教育研究を行います。このため,治療医工学講座には以下の分野を設置しています。

生体電磁エネルギー医工学

電磁気現象を利用した低侵襲の医療福祉機器

  • 教授 藪上 信 教授 藪上 信
  • 准教授 桑波田 晃弘 准教授 桑波田 晃弘

少子高齢化,医療福祉費抑制の背景のもと,コンパクトでスマートな医療機器,福祉機器が必要とされている。当研究室では電磁界を媒体とする生体内外の生体情報の計測・伝送技術を開発するとともに,電磁気現象を利用した低侵襲の診断・治療技術の研究を進め,医療機器および福祉・介護機器として社会実装を目指す。

  1. 磁性ナノ粒子を用いた細菌等の検出システム開発とヘルスケアや福祉介護分野への適用
  2. 室温動作の生体磁気情報計測システムの開発と低侵襲医療機器への応用
  3. 生体内外の位置情報計測・伝送システムの開発と低侵襲医療・福祉機器への応用
  4. 生体磁気計測センサ用磁性薄膜評価装置の開発
  • 開発したポータブル微生物検出システム

    開発したポータブル微生物検出システム

  • 室温動作の生体磁気情報計測システムによる心磁界測定実験

    室温動作の生体磁気情報計測システムによる心磁界測定実験

超音波ナノ医工学

見えない患部を体の外から治療体に負担のない優しい超音波治療を研究

  • 教授 吉澤 晋 教授 吉澤 晋

超音波は,その情報が医療診断に広く用いられてきたが,最近では,そのエネルギーを患部に集めて,がんなどを治療することにも用いられるようになっている。これを実現するためには,患部に超音波エネルギーを集める技術だけではなく,体の外から肉眼では見えない患部に照準を定め,患部の治療による変化を実時間検出する技術が必要不可欠である。さらに,患部に選択的に集まりやすく,低い超音波強度で治療効果を発生する増感物質が開発できれば,超音波治療の安全性と効率を飛躍的に高めることができる。

  1. 集束超音波技術の研究開発
  2. 超音波治療増感技術の研究
  3. 超音波による組織変化検出技術の研究
  • マイクロバブルによる組織の温度上昇

    マイクロバブルによる組織の温度上昇

  • 実験の様子

    実験の様子

腫瘍医工学

革新的リンパ行性薬物送達法の開発

  • 教授 小玉 哲也 教授 小玉 哲也

がん治療の最重要課題であるリンパ節転移の制御に対し、抗腫瘍効果と免疫関連有害事象(irAE)抑制の両立を目指す。医・工・薬学を融合し、以下の3軸で研究を展開する。

  1. リンパ行性ドラッグデリバリーシステム(LDDS)の社会実装
    現在進行中の特定臨床研究(第Ⅰ相)から、第Ⅱ相への国際的な共同臨床試験への移行を見据え、リンパ節送達に最適化した薬剤設計と精密投与デバイスの開発を推進する。工学的アプローチにより局所治療を高度化し、全身性副作用の大幅な低減を実現する。
  2. 独自のマウス系統を用いたirAEメカニズムの解明
    世界初の「リコンビナント近交系マウス11系統」を用い、免疫チェックポイント阻害薬による治療効果とirAE発現の個体差を規定する免疫応答機構を分子レベルで解明する。これにより、副作用のリスク予測や制御法の確立を目指す。
  3. 個別化治療に向けた定量指標とアルゴリズムの構築
    リンパ節内の流体動態、薬剤分布、免疫応答を統合した評価指標を策定する。これに基づき、患者ごとに最適な投与条件を決定するアルゴリズムを構築し、次世代の精密医療(プレシジョン・メディシン)を牽引する。
  • 本研究分野で開発したリンパ節転移マウスモデル(A) 腸骨下リンパ節から腋窩リンパ節に3-5日以内に転移が確認される。 (B)腋窩リンパ節内のリンパ節転移部位。(C)高周波超音波とナノ・マイクロバブルで確認された腫瘍新生血管

    本研究分野で開発したリンパ節転移マウスモデル
    (A) 腸骨下リンパ節から腋窩リンパ節に3-5日以内に転移が確認される。
    (B)腋窩リンパ節内のリンパ節転移部位。
    (C)高周波超音波とナノ・マイクロバブルで確認された腫瘍新生血管

先進歯科医工学

歯科医工学の先端技術応用による高度先進医療技術イノベーション

  • 教授 金高 弘恭 教授 金高 弘恭

歯科医工学における先端技術を応用し,先駆的な非侵襲的生体計測機器および機能性生体材料の開発を行い,高度先進医療技術の創出に貢献することを目的とした研究を行う。特に,生体用ワイヤレスモーションキャプチャシステムの構築,生体適合性の高いニッケルフリーTi基形状記憶合金や生体吸収性材料を利用した革新的機能性生体材料の創製を行い,多角的に臨床的有用性を評価することで,様々な医療分野への臨床応用を目指す。

  1. 生体用モーションキャプチャシステム開発に関する研究
  2. ニッケルフリーTi基形状記憶合金の医療応用に関する研究
  3. 生体吸収性医療用材料の開発に関する研究
  • 磁気式ワイヤレスモーションキャプチャ技術を応用した摂食嚥下機能評価システムの開発

    磁気式ワイヤレスモーションキャプチャ技術を応用した摂食嚥下機能評価システムの開発

  • ニッケルフリーTi基形状記憶合金を利用した生体埋入型骨整形装置の開発

    ニッケルフリーTi基形状記憶合金を利用した生体埋入型骨整形装置の開発

医用材料プロセス工学

金属とセラミックスの融合による生体機能化プロセスの開発

  • 教授 成島 尚之 教授 成島 尚之

超高齢社会を目前にした我が国では,今後生体機能の低下や喪失に対応した生体機能再建システムの高度化が期待されています。本分野では人工関節や人工歯根といった硬組織代替デバイスの高機能化を材料学的視点から目指しており,チタン材料,Co-Cr-Mo合金といった金属系材料およびリン酸カルシウム等のセラミックス系材料に着目し,物理化学的・化学工学的アプローチによる材料製造プロセス,生体模擬環境における材料表面・界面反応制御に関する基礎的研究と共に,骨適合性向上を目的とした表面改質プロセス開発,人工関節用材料開発などの応用研究も行っています。

  1. 軽元素に着目した金属系生体材料の組織制御
  2. セラミックス化骨適合表面の創製
  3. 生体用金属系材料中の晶析出制御
  • RFマグネトロンスパッタリング法により作製した非晶質リン酸カルシウム(ACP)薄膜(a)および家兎大腿骨埋入1週間後(b)の断面

    RFマグネトロンスパッタリング法により作製した非晶質リン酸カルシウム(ACP)薄膜(a)および家兎大腿骨埋入1週間後(b)の断面

  • リン酸カルシウムコーティングを施したインプラントおよびコーティング無しインプラントの家兎大腿骨からの回転除去トルクとISQ値の関係

    リン酸カルシウムコーティングを施したインプラントおよびコーティング無しインプラントの家兎大腿骨からの回転除去トルクとISQ値の関係

生体機能材料プロセス工学

再生医療やDDSへの応用を指向した生体機能材料プロセスの開発

  • 教授 山本 雅哉 教授 山本 雅哉

先端医療を支える生体機能材料の設計には,生体機能の分子科学的な理解に基づく材料研究が重要である。本分野では,生体で機能するソフトマター、プラスチック、生体由来材料、有機・無機ハイブリッドの分子科学的な理解と設計に関する基礎研究を行っている。さらに,分子設計した生体機能材料を、再生医療、がん研究、ドラッグデリバリーシステム(DDS)、環境問題ナノ・マイクロプラスチックの生態影響評価へ応用展開している。

  1. 再生医療への応用を指向した幹細胞運命決定のための生体機能材料の開発
  2. 環境・創薬・がん研究のための体外疾患モデルの開発
  3. 有機・無機ハイブリッドナノ材料の開発
  4. 分光学的手法を利用した生体組織の機能解析
  • 再生医療やDDSへの応用を指向した生体機能材料プロセスの開発

    再生医療やDDSへの応用を指向した生体機能材料プロセスの開発

  • 東北大学メディカルサイエンス実用化推進委員会
  • 工学系女性研究者育成支援推進室
  • つながる工学