少子高齢化、医療福祉費抑制の背景のもと、コンパクトでスマートな医療機器、福祉機器が必要とされている。当研究室では電磁界を媒体とする生体内外の生体情報の計測・伝送技術を開発するとともに、電磁気現象を利用した低侵襲の診断・治療技術の研究を進め、医療機器および福祉・介護機器として社会実装を目指す。
超音波は、その情報が医療診断に広く用いられてきましたが、最近では、そのエネルギーを患部に集めて、がんなどを治療することにも用いられるようになっています。これを実現するためには、患部に超音波エネルギーを集める技術だけではなく、体の外から肉眼では見えない患部に照準を定め、患部の治療による変化を実時間検出する技術が必要不可欠です。さらに、患部に選択的に集まりやすく、低い超音波強度で治療効果を発生する増感物質が開発できれば、超音波治療の安全性と効率を飛躍的に高めることができます。
がん患者の死亡の90%は転移に起因し、その多くの場合にリンパ節転移が確認されます。本分野においては、リンパ節転移の超早期な診断・治療システムの開発を目的にしています。生物発光イメージング法、造影超音波イメージング法、マイクロCTなどの複数の高感度・高精度のイメージング法を駆使して、前臨床研究をおこない、臨床への応用を目指します。研究項目は以下の三つです。
歯科医工学における先端技術を応用し、先駆的な非侵襲的生体計測機器および機能性生体材料の開発を行い、高度先進医療技術の創出に貢献することを目的とした研究を行う。特に、生体用ワイヤレスモーションキャプチャシステムの構築、生体適合性の高いニッケルフリーTi基形状記憶合金や生体吸収性材料を利用した革新的機能性生体材料の創製を行い、多角的に臨床的有用性を評価することで、様々な医療分野への臨床応用を目指す。
磁気式ワイヤレスモーションキャプチャ技術を応用した摂食嚥下機能評価システムの開発
ニッケルフリーTi基形状記憶合金を利用した生体埋入型骨整形装置の開発
超高齢社会を目前にした我が国では、今後生体機能の低下や喪失に対応した生体機能再建システムの高度化が期待されています。本分野では人工関節や人工歯根といった硬組織代替デバイスの高機能化を材料学的視点から目指しており、チタン材料、Co-Cr-Mo合金といった金属系材料およびリン酸カルシウム等のセラミックス系材料に着目し、物理化学的・化学工学的アプローチによる材料製造プロセス、生体模擬環境における材料表面・界面反応制御に関する基礎的研究と共に、骨適合性向上を目的とした表面改質プロセス開発、人工関節用材料開発などの応用研究も行っています。
先端医療を支える再生医療やドラッグデリバリーシステム(DDS)等に応用する生体機能材料を設計するためには、生体分子環境を含めた生体機能の理解とそれに基づいた生体機能材料プロセスが重要です。本分野では、新たな生体機能材料を開発するために、生体機能の分子科学的な理解を進め、それに基づいた生体で機能する有機・無機ハイブリッドやソフトマターに関する基礎的研究を行っています。さらに、基礎的知見に基づいて設計したポリマーベシクルやハイドロゲルなどの生体機能材料を、再生医療やDDS等へ応用する研究も行っています。