聴覚系は,振動としての音情報が電気的な情報に変換され中枢に伝達されるシステムであり,障害の部位,原因により個々の難聴者の残存聴覚能は大きく異なる。 難聴者の聴覚QOL(quality of life)の改善を目的に,聴覚再建,聴覚補償医療に必要不可欠な,難聴の病態解明,残存聴覚能の正確な評価,並びにそれらに基づく機能補償・再建法の開発,効果的なリハビリテーション法の確立などの研究を行っている。
中枢神経系は脆弱かつ再生能にも乏しく,傷害されることによるQOL (quality of life)の低下も著しい。種々の中枢神経疾患における病態を分子生物学的手法や数値流体力学などの工学的手法を駆使して解明し,以下の新規薬剤や幹細胞などによる新たな治療法開発と臨床応用を目指す。
実験的脳動脈瘤。発生、成長、破裂、治癒の各過程に関連する因子を分析。新しいデバイスの開発、薬物療法の研究などに使っている。
CFDを用いた実データーによる脳動脈瘤の解析 このタイプの動脈瘤では壁剪断応力が成長、破裂に強く関連している。
平均寿命が長い日本では現在、健康寿命を延ばすことが課題に挙げられています。人間が生きているうえで必要な情報の約8割は視覚から得ていると言われており、健康寿命を延ばすためには視力を保つことが非常に重要です。そのために未来型医療創成センター(INGEM)と協力して、ライフスタイル(喫煙、飲酒、体重、食事、運動、睡眠等)、オミックスデータ(遺伝子、メタボローム)、眼底写真、光干渉断層撮影(OCT)画像を突合したビックデータを構築し、日常人間ドックのデータからAI画像診断にて予後予測、全身疾患のスクリーニング等のデータサイエンスに基づいた目の疾患予防に関する研究に取り組んでおります。また、個人の酸化ストレスを新しい機器を用いて数値化し眼疾患との関連を探索することで個別化医療の創設に努めております。全身の血管疾患や認知症に重要な情報を眼球からバイオマーカーとして非侵襲的に取り出すマイクロデバイス等の医療機器の開発にも取り組んでおります。
薬物,ホルモン,生体内物質(尿毒症物質や肝不全物質)の細胞膜輸送機構と体内動態,病態時における調節メカニズムの解明を通して,癌,腎不全,高血圧,内分泌疾患の新たな治療法の開発と臨床応用を図る。
腎臓特異的遺伝子発現法