生体再生医工学

生体再生医工学講座では,生体再生を形態と機能の両面から工学技術を駆使して実現する。細胞・組織レベルでの再生を目指すとともに,人工臓器による機能再建を発展させ,さらに複雑系としての生体機能を制御する情報工学技術を開発,確立し発展させる。このため,生体再生医工学講座には以下の分野を設置しています。

聴覚再建医工学

聴覚再建医療に対する医工学的アプローチ

  • 教授 香取 幸夫教授 香取 幸夫

聴覚系は,振動としての音情報が電気的な情報に変換され中枢に伝達されるシステムであり,障害の部位,原因により個々の難聴者の残存聴覚能は大きく異なる。 難聴者の聴覚QOL(quality of life)の改善を目的に,聴覚再建,聴覚補償医療に必要不可欠な,難聴の病態解明,残存聴覚能の正確な評価,並びにそれらに基づく機能補償・再建法の開発,効果的なリハビリテーション法の確立などの研究を行っている。

  1. 難聴病態の解明と評価・診断法の開発に関する研究
  2. 聴覚再建医療に関する研究(補聴器,人工内耳,脳幹インプラント)
  3. 聴覚リハビリテーションに関する研究
  4. 両耳聴,並びに視覚-聴覚によるBimodal Speech Perceptionに関する研究
  • 脳幹インプラントのためのマッピングシステムの開発

    脳幹インプラントのためのマッピングシステムの開発

  • 脳磁図を用いた聴性定常反応に関する研究

    脳磁図を用いた聴性定常反応に関する研究

神経再建医工学

神経外科疾患の診断・治療法開発と臨床応用

  • 教授 新妻 邦泰 教授 新妻 邦泰
  • 准教授 Sherif Rashad 准教授 Sherif Rashad

中枢神経系は脆弱かつ再生能にも乏しく,傷害されることによるQOL (quality of life)の低下も著しい。脳卒中や脳腫瘍,神経変性疾患など種々の中枢神経疾患における病態を,分子生物学的手法やAIを利用したバイオインフォマティクス解析,数値流体力学などの工学的手法を駆使して解明する。幹細胞による神経再生療法や新規薬剤など、新たな治療法を開発し,最終的に臨床応用を目指す。

  1. 中枢神経再生治療法の開発
  2. 新規血栓溶解・神経保護薬の開発
  3. 脳腫瘍に対する新規光治療の開発
  4. 神経における分子シグナリングに関する研究、特に脳腫瘍や神経変性疾患における、蛋白質翻訳機能の異常の解明
  5. 脳血管内治療に関する研究,新規治療機器の開発
  6. 高速イメージング技術に基づく新規フローサイトメトリー機器開発
  • 実験的脳動脈瘤。発生、成長、破裂、治癒の各過程に関連する因子を分析。新しいデバイスの開発、薬物療法の研究などに使っている。

    実験的脳動脈瘤。発生、成長、破裂、治癒の各過程に関連する因子を分析。新しいデバイスの開発、薬物療法の研究などに使っている。

  • CFDを用いた実データーによる脳動脈瘤の解析 このタイプの動脈瘤では壁剪断応力が成長、破裂に強く関連している。

    CFDを用いた実データーによる脳動脈瘤の解析 このタイプの動脈瘤では壁剪断応力が成長、破裂に強く関連している。

視覚抗加齢医工学

  • 助教 檜森 紀子 准教授 檜森 紀子

平均寿命が長い日本では現在、健康寿命を延ばすことが課題に挙げられています。人間が生きているうえで必要な情報の約8割は視覚から得ていると言われており、健康寿命を延ばすためには視力を保つことが非常に重要です。そのために未来型医療創成センター(INGEM)と協力して、ライフスタイル(喫煙、飲酒、体重、食事、運動、睡眠等)、オミックスデータ(遺伝子、メタボローム)、眼底写真、光干渉断層撮影(OCT)画像を突合したビックデータを構築し、日常人間ドックのデータからAI画像診断にて予後予測、全身疾患のスクリーニング等のデータサイエンスに基づいた目の疾患予防に関する研究に取り組んでおります。また、個人の酸化ストレスを新しい機器を用いて数値化し眼疾患との関連を探索することで個別化医療の創設に努めております。全身の血管疾患や認知症に重要な情報を眼球からバイオマーカーとして非侵襲的に取り出すマイクロデバイス等の医療機器の開発にも取り組んでおります。

  1. 目を通した全身疾患の管理
    ① 眼鏡を使った眼底カメラの開発
    ② 細隙灯顕微鏡診察から眼疾患自動検出装置の開発
    ③ マイクロデバイスを用いた前眼部組織の酸化ストレス測定の開発
    ④ 最新の工学機器(センシングデバイス)による眼疾患との関連
  2. 酸化ストレス計測キット開発
     緑内障の発症や進行に酸化ストレスが関与することが報告されており、自宅で簡単に酸化ストレスを計測できるキットの開発を進めます。
  3. 睡眠時無呼吸症候群と緑内障について
     緑内障の進行に関わる危険因子として全身疾患(高血圧、糖尿病、高脂血症、睡眠時無呼吸症候群等)が挙げられております。睡眠時無呼吸症候群は酸化ストレスを介して緑内障病態に関与していることも示唆されており、病態に関与するバイオマーカーの探索を進めます。
  4. サプリメントの開発
     生体サンプルから活性酸素(スーパーオキシド、ヒドロキシルラジカル、一重項酸素、過酸化水素)を解析し緑内障との関連の検証、サプリメント開発に取り組んでおります。

メカノ医歯工学

“力”で細胞を導く革新的歯科治療技術の開発

  • 教授 山田 将博 教授 山田 将博

口腔内には常に多様な機械的刺激が加わり、生命現象の制御に深く関与しています。ナノテクノロジー材料は、生体にとって物理的微小環境として機能し、こうした刺激に対する細胞応答を制御することができます。
当研究室では、生物工学と電気・機械工学を融合した学際的アプローチにより、生体材料や医療機器を設計・開発しています。メカノバイオロジーの原理を活用して組織再生や病態制御を実現する次世代歯科医療技術を創出し、個別化歯科医療の確立を目指しています。

  1. 咬合・咀嚼力が引き起こす病態の解明
  2. 生体模倣ナノ生体材料を用いた硬組織の再生と病態制御
  3. ナノテクノロジーを用いた口腔内診断装置・生体機能チップの開発
  4. 歯科再生医療技術の社会実装の推進
  • メカノ医歯工学

    生体模倣チタンナノ表面は歯肉や歯周組織、骨、免疫機構を制御することが証明されている

腎・循環再生医工学

液性・代謝制御を基盤にレジリエンスと再生を実装する

  • 教授 豊原 敬文 教授 豊原 敬文

本研究分野は、全身恒常性を担う腎臓と循環系に着目し、医学・工学・データ科学を融合して、全身レジリエンス(病態への抵抗性・回復力)の向上、若返り、再生の実装を目指します。具体的には、腎臓は体液量・電解質・代謝物・毒素を調節し、循環系は血圧・血流を制御するとともに、ホルモン・サイトカイン・代謝物などの液性因子を搬送・回収して臓器連関を成立させます。臨床課題を起点にiPS細胞を用いた疾患モデル(disease-in-a-dish)や工学的ヒト臓器モデルを構築し、機序解明と治療候補の検証を進め、医学工学を融合してbedside ↔︎ benchの橋渡し研究で社会実装に貢献します。

  1. 血管や腎臓の老化メカニズムや全身臓器との連関、Ageotypeの解析
  2. 全身臓器のレジリエンス向上・若返り、再生治療の開発
  3. ミトコンドリアなどの細胞内小器官と病態との関連解析、治療法開発
  4. iPS細胞などを用いた工学的ヒト臓器モデルの構築
  • 臨床的な課題やニーズに対して生物学、工学的アプローチで取り組み新たな治療を患者さんに届ける(動脈硬化治療開発の一例)

    臨床的な課題やニーズに対して生物学、工学的アプローチで取り組み新たな治療を患者さんに届ける(動脈硬化治療開発の一例)

  • 東北大学メディカルサイエンス実用化推進委員会
  • 工学系女性研究者育成支援推進室
  • つながる工学