分野紹介:治療医工学

治療医工学講座では,治療に用いられる方法の開発とその基礎となる理工学,それらを用いた基礎医学研究 ならびに臨床応用に関する教育研究を行います。このため,治療医工学講座には以下の分野を設置しています。

超音波ナノ医工学

見えない患部を体の外から治療
体に負担のない優しい超音波治療を研究

教授 梅村 晋一郎 教授 梅村 晋一郎
准教授 吉澤 晋 准教授 吉澤 晋

超音波は、その情報が医療診断に広く用いられてきましたが、最近では、そのエネルギーを患部に集めて、がんなどを治療することにも用いられるようになっています。これを実現するためには、患部に超音波エネルギーを集める技術だけではなく、体の外から肉眼では見えない患部に照準を定め、患部の治療による変化を実時間検出する技術が必要不可欠です。さらに、患部に選択的に集まりやすく、低い超音波強度で治療効果を発生する増感物質が開発できれば、超音波治療の安全性と効率を飛躍的に高めることができます。

  1. 集束超音波技術の研究開発
  2. 超音波治療増感技術の研究
  3. 超音波による組織変化検出技術の研究
研究室サイト
マイクロバブルによる組織の温度上昇

マイクロバブルによる組織の温度上昇

実験の様子

実験の様子

量子医工学

脳機能診断、癌診断および癌治療のための量子医療技術

教授 寺川 貴樹 教授 寺川 貴樹

超高齢化時代を迎えた今、3大老人病である癌、心臓病、認知症の対策が最重要課題となっており、このための最先端医療技術の創成が急務となっています。放射線とイオンビームに基づいた先端技術は、細胞レベルでの診断・治療を可能にする医療装置の開発につながると注目されています。本研究分野では、以下の研究・開発に取り組んでいます。

  1. 陽電子断層撮影装置の開発
  2. 粒子線治療技術の開発
研究室サイト
機能画像診断装置:PETの開発

機能画像診断装置:PETの開発

腫瘍医工学

リンパ節転移の早期診断・治療法に関する前臨床試験

教授 小玉 哲也 教授 小玉 哲也

がん患者の死亡の90%は転移に起因します。したがって、転移の超早期な診断・治療法の開発が急務です。本分野においては、多くのがんで観察されるリンパ節転移の超早期な診断・治療システムの開発を目的にしています。生体発光イメージング法,造影超音波イメージング法,マイクロCT,マイクロMRIなどの複数の高感度・高精度のイメージング法を駆使して、前臨床研究をおこない,臨床への応用を目指します。研究項目は以下の三つです。

  1. リンパ節介在性血行転移に関する研究
  2. リンパ行性ドラッグデリバリーシステム(DDS)に関する研究
  3. 遠隔部位におけるリンパ節郭清後の腫瘍細胞の活性化メカニズムに関する研究
研究室サイト
本研究分野で開発したリンパ節転移マウスモデル(A) 腸骨下リンパ節から腋窩リンパ節に3-5日以内に転移が確認される。 (B)腋窩リンパ節内のリンパ節転移部位。(C)高周波超音波とナノ・マイクロバブルで確認された腫瘍新生血管

本研究分野で開発したリンパ節転移マウスモデル
(A) 腸骨下リンパ節から腋窩リンパ節に3-5日以内に転移が確認される。 (B)腋窩リンパ節内のリンパ節転移部位。(C)高周波超音波とナノ・マイクロバブルで確認された腫瘍新生血管

医用材料創製工学

がん治療や骨修復に役立つ医用材料の開発

准教授 川下 将一 准教授 川下 将一

がんや骨疾患の治療に貢献する医用材料(バイオマテリアル)に関する研究を行う。特に,がんの温熱・放射線治療に適したセラミック微粒子や抗菌性と骨結合性を併せ示すチタンを創製し,その物性および生体適合性を評価する。また,工学的および細胞生物学的手法を用いて,水酸アパタイトの骨伝導機構の解明にも挑戦する。これらの研究を通じて,幅広い知識と多角的な視野を持つ人材を育成する。

  1. 深部がん血管内治療用材料に関する研究
  2. 骨修復材料に関する研究
  3. 人工材料の骨結合機構に関する研究
研究室サイト
放射性あるいは磁性微小球による深部がん血管内治療

放射性あるいは磁性微小球による深部がん血管内治療

可視光応答型抗菌性生体活性チタン

可視光応答型抗菌性生体活性チタン

先進歯科医工学

歯科医工学の先端技術応用による高度先進医療技術イノベーション

准教授 金高 弘恭 准教授 金高 弘恭

歯科医工学における先端技術を応用し、先駆的な非侵襲的生体計測機器および機能性生体材料の開発を行い、高度先進医療技術の創出に貢献することを目的とした研究を行う。特に、生体用ワイヤレスモーションキャプチャシステムの構築、生体適合性の高いニッケルフリーTi基形状記憶合金や生体吸収性材料を利用した革新的機能性生体材料の創製を行い、多角的に臨床的有用性を評価することで、様々な医療分野への臨床応用を目指す。

  1. 生体用モーションキャプチャシステム開発に関する研究
  2. ニッケルフリーTi基形状記憶合金の医療応用に関する研究
  3. 生体吸収性医療用材料の開発に関する研究
磁気式ワイヤレスモーションキャプチャ技術を応用した摂食嚥下機能評価システムの開発

磁気式ワイヤレスモーションキャプチャ技術を応用した摂食嚥下機能評価システムの開発

ニッケルフリーTi基形状記憶合金を利用した生体埋入型骨整形装置の開発

ニッケルフリーTi基形状記憶合金を利用した生体埋入型骨整形装置の開発

医用材料プロセス工学

金属とセラミックスの融合による生体機能化プロセスの開発

教授 成島 尚之 教授 成島 尚之

超高齢社会を目前にした我が国では、今後生体機能の低下や喪失に対応した生体機能再建システムの高度化が期待されています。本分野では人工関節や人工歯根といった硬組織代替デバイスの高機能化を材料学的視点から目指しており、チタン材料、Co-Cr-Mo合金といった金属系材料およびリン酸カルシウム等のセラミックス系材料に着目し、物理化学的・化学工学的アプローチによる材料製造プロセス、生体模擬環境における材料表面・界面反応制御に関する基礎的研究と共に、骨適合性向上を目的とした表面改質プロセス開発、人工関節用材料開発などの応用研究も行っています。

  1. 軽元素に着目した金属系生体材料の組織制御
  2. セラミックス化骨適合表面の創製
  3. 生体用金属系材料中の晶析出制御
研究室サイト
RFマグネトロンスパッタリング法により作製した非晶質リン酸カルシウム(ACP)薄膜(a)および家兎大腿骨埋入1週間後(b)の断面

RFマグネトロンスパッタリング法により作製した非晶質リン酸カルシウム(ACP)薄膜(a)および家兎大腿骨埋入1週間後(b)の断面

リン酸カルシウムコーティングを施したインプラントおよびコーティング無しインプラントの家兎大腿骨からの回転除去トルクとISQ値の関係

リン酸カルシウムコーティングを施したインプラントおよびコーティング無しインプラントの家兎大腿骨からの回転除去トルクとISQ値の関係

生体機能材料プロセス工学

再生医療やDDSへの応用を指向した生体機能材料プロセスの開発

教授 山本雅哉 教授 山本雅哉

先端医療を支える再生医療やドラッグデリバリーシステム(DDS)等に応用する生体機能材料を設計するためには、生体分子環境を含めた生体機能の理解とそれに基づいた生体機能材料プロセスが重要です。本分野では、新たな生体機能材料を開発するために、生体機能の分子科学的な理解を進め、それに基づいた生体で機能する有機・無機ハイブリッドやソフトマターに関する基礎的研究を行っています。さらに、基礎的知見に基づいて設計したポリマーベシクルやハイドロゲルなどの生体機能材料を、再生医療やDDS等へ応用する研究も行っています。

  1. 再生医療への応用を指向した幹細胞運命決定のための生体機能材料の開発
  2. 創薬研究のための体外疾患モデルの開発
  3. DDSへの応用を指向した有機・無機ハイブリッドナノ粒子の開発
  4. 分光学的手法を利用した生体組織の機能解析
研究室サイト

再生医療やDDSへの応用を指向した生体機能材料プロセスの開発