生体機械システム医工学

生体機械システム医工学講座では,機械システム工学的アプローチによる生体システムの研究と,それらを用いた基礎医学研究ならびに臨床応用に関する教育研究を行います。このため,生体機械システム医工学講座には以下の分野を設置しています。

生体流体力学

人体の機能の解明と疾病の克服を目指すバイオメカニクス

  • 教授 石川 拓司 教授 石川 拓司
  • 准教授 菊地 謙次 准教授 菊地 謙次
  • 准教授 沼山 恵子 准教授 沼山 恵子

バイオメカニクスは,生体内における各種の生理学的あるいは病理学的な現象を物理法則に基づいて調べ,生物学・医学と異なる視点から生命現象を解明する学問分野である。私達は,臓器や微生物を主な研究対象とし,バイオメカニクスの視点から健康や環境に関わる様々な生命現象を研究している。研究対象は多岐に渡り,血球や微生物の懸濁液の大規模GPUコンピューティング,呼吸器・消化器系のバイオイメージングと各種疾患メカニズムの解明,経皮吸収促進パッチの開発などを行っている。

  • 循環器系・呼吸器系・消化器系の計算生体力学

    循環器系・呼吸器系・消化器系の計算生体力学

  • がんの診断や血流計測のための微小流体流路

    がんの診断や血流計測のための微小流体流路

医用ナノシステム学

半導体神経工学に基づく生体融和型マイクロ・ナノ集積システム

  • 教授 田中 徹 教授 田中 徹
  • 准教授 福島 誉史 准教授 福島 誉史

半導体神経工学は生体の神経システムへ半導体工学を駆使して迫り,その構造と機能の探究を通して,生体と機械を綜合した新しい融合システムを創製する研究領域である。本研究室では半導体神経工学に基づいた生体融和型の新しいマイクロ・ナノ集積システムについての教育と研究を行う。生体と同じ積層構造を有する人工網膜や,脳内の電気的・化学的状態を多元的・立体的に計測・解析する脳埋込型集積化知能デバイスについて研究を行っている。また,ウェアラブル・インプランタブルデバイス実装技術を用いて,極小の生体センサや光学素子を生体適合性材料で気密封止しフレキシブル基板に集積する生体医用システムの研究も行う。

  1. 人の眼に埋め込んで視覚を再生する人工網膜システム
  2. 脳埋込型集積化知能デバイスと脳・機械インターフェイス
  3. ウェアラブル・フレキシブルデバイス実装技術
  4. 3D集積回路技術とアナログ・デジタル集積回路設計
  • 神経プローブによる海馬スライスへの電気刺激と活動電位記録

    神経プローブによる海馬スライスへの電気刺激と活動電位記録

  • 開発した37×37ピクセルの人工網膜チップ

    開発した37×37ピクセルの人工網膜チップ

  • クリーンルーム内でのデバイス試作

    クリーンルーム内でのデバイス試作

病態ナノシステム医工学

生命機能とそのナノシステム障害を「視る」

  • 教授 神崎 展 教授 神崎 展

2型糖尿病を含めたさまざま生活習慣病を罹患する人が激増している。神崎研究室では最先端ナノイメージング技術を使って生命機能を可視化解析しながら,それらの疾患の分子病態機序について「ナノシステムの障害」という新しい観点から研究を推進している。また,最新の細胞工学・遺伝子工学技術を駆使して高度発達型細胞を創製している。

  1. 生命機能ナノイメージングに関する研究
  2. 高次機能型細胞工学に関する研究
  3. 機能膜タンパクのソーティング障害と疾患に関する研究
  4. 身体活動(運動)による生活習慣病の治療効果に関する研究
  • 骨格筋のライブイメージング解析

    骨格筋のライブイメージング解析

  • 生体ナノシステム解析用の蛍光顕微鏡

    生体ナノシステム解析用の蛍光顕微鏡

ウェットデバイス工学

生体・環境親和性に優れるバイオ融合型デバイスの開発

  • 教授 西澤 松彦 教授 西澤 松彦

生体・環境親和性に優れるバイオ融合型デバイス・システムの開発を行っている。特に,ウェットな生理環境中で行うソフトマテリアルの加工技術を開拓し,脆弱なバイオ素材(タンパク質・ゲル・細胞など)を取り込むデバイス製造を可能とすることによって,バイオ機能を最大限に活かして動作する安全・高感度・高効率な自律駆動デバイスを創出する。

  1. バイオ電池で駆動する診断・治療パッチ
  2. ハイドロゲル製の神経モニタリング電極システム
  3. 体内に埋め込む自律型の投薬デバイス
  4. 再生医療と創薬を革新する細胞培養ソフトデバイス
  • 自己発電型バイオDDSパッチ

    自己発電型バイオDDSパッチ

  • ハイドロゲル電極

    ハイドロゲル電極

ニューロロボティクス

ロボティクスのためのニューロサイエンス,ニューロサイエンスのためのロボティクス

  • 教授 林部 充宏 教授 林部 充宏

ロボットの世紀などと近年言われるが,実世界の環境との適応的インタラクションという側面ではまだまだ人間のもつ高度な運動制御,感覚機能から学ぶべきことは多い。本研究室では人間の持つ環境適応,運動学習能力を工学的にも脳科学的にも深く理解するため,情報処理およびロボティクスのモデル化技術をベースとして用い脳科学的にも説明が可能なレベルで人間の運動制御,学習メカニズムの解明とそれに資する人間の運動情報の収集およびロボティクスツールを用いた解析に関する技術開発を行う。ロボティクスのためのニューロサイエンス,ニューロサイエンスのためのロボティクスと双方向的に科学するニューロロボティクスに取り組む。また運動学習と脳の環境知覚の研究から得た知見から,運動学習効果を最大限に引き出すニューロリハビリテーションを目指す。

  1. 人間の運動制御,環境適応学習メカニズムの研究
  2. 生体感覚信号,生体機能のモデリングと同定技術の開発
  3. 脊椎動物の冗長関節制御と生物運動学習に関する研究
  4. ロボット技術のニューロリハビリテーションへの展開
  • 図1 経頭蓋直流電気刺激中のNIRS-EEG同期モデリング

    図1 経頭蓋直流電気刺激中のNIRS-EEG同期モデリング

  • 図2 筋肉の機能,生理,変形ボリュームモデリング

    図2 筋肉の機能,生理,変形ボリュームモデリング

  • 図3 足圧力計測に依存しないバランス推定

    図3 足圧力計測に依存しないバランス推定