生体材料学

生体材料学講座では,インプラントや医用器具・部材等への応用を念頭に,金属ならではの特性を生かした新医用材料やその組織・形態制御および加工プロセスの開発を通した医療貢献を目指して,金属学の基礎とその最新応用に関する教育研究を推進します。このため,生体材料学講座には以下の分野を設置しています。

医用金属構造形態制御学

金属学に基づいた医用金属材料の成分・構造・形態制御に関する研究

  • 教授 加藤 秀実 教授 加藤 秀実

金属材料の構造およびその形態を,冶金学に基づくプロセスを用いて制御することにより,生体適合性・生体機能性に優れる新しい医用金属材料を開発する。急冷凝固法等の非平衡プロセスを用いたナノ構造・非晶質化によって構造を制御し,新奇な機械的特性を呈する新しい医用金属を見出す。また,脱成分法等の改質プロセスを用いた無毒・多孔質表面化によって表面形態を制御し,既存または最新医用金属材料の更なる生体適合性の改善に貢献する。

  • 図1 SUS316L表面から毒性ニッケル元素を脱成分する反応設計

    図1
    SUS316L表面から毒性ニッケル元素を脱成分する反応設計

  • 図2 マグネシウム液体中に浸漬してニッケルが除去されたSUS316L表層断面を示すEDS分析結果

    図2
    マグネシウム液体中に浸漬してニッケルが除去されたSUS316L表層断面を示すEDS分析結果

医用金属材料学

先端加工プロセスによる高機能医用金属材料の開発

  • 准教授 山中 謙太 准教授 山中 謙太

本分野では,加工熱処理や近年注目を集めるAdditive Manufacturingを駆使した医用金属材料の高機能化に関する研究を行っている。生体用Co-Cr基合金やTi基合金を主な対象として,材料内部に起こる組織変化と力学特性や耐食性・生体適合性との関係を体系化し,最も優れた特性を引き出すための加工プロセスの確立と特性発現メカニズムの解明を目指す。また,放射光や中性子を用いた組織・変形解析やシミュレーションを基にした新規医用金属材料の開発,産学連携による合金素材・医療機器の実用化にも取り組んでいる。

電子ビーム積層造形で製造したCo-Cr-Mo合金製人工膝関節

電子ビーム積層造形で製造したCo-Cr-Mo合金製人工膝関節