研究科長メッセージ

今回の東日本大震災により被災した方々に心よりお見舞い申し上げます。また、震災直後から、多くの方々や研究機関から、医工学研究科の被災に対する励ましや支援についての暖かいお言葉をいただきました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。既に本研究科の教職員、学生等、全員の無事を確認いたしましたが、居住する建物や一部の研究室の設備等においては大きな被害が発生いたしました。現在、研究科一丸となって迅速な復旧・復興対策に取り組んでおります。引き続き、皆様からのご支援をお願いいたします。
新学期につきましては、5月6日(金)に入学オリエンテーションを行い、大学院のすべての講義カリキュラムを青葉山地区および星陵地区において実施できる体制を整え、5月9日(月)から授業を開始いたしました。新入生、在学生ともに、安心して勉学に取り組んでくれることを期待しています。
平成20年4月1日に我が国初の大学院研究科として東北大学に誕生した医工学研究科は、発足以来変わることのない、皆様の熱い期待とご支援により、これまで、順調に発展を遂げることができましたことを心より御礼申し上げます。
医工学と呼ばれる学問領域は、「医工連携」という言葉から、最近の新しい「融合領域」とみられがちですが、世界に先駆けて、日本、特に東北大学において古くから医工学に関する研究は行われてきました。その端緒は、大正14年に本学工学部電気工学科と医学部小児科学との共同研究から開発された佐藤・抜山式電気聴診器にあるといわれておりますし、爾来今日にいたるまでの長い間、途切れることなく継続的に医工学研究を発展させてきた東北大学の諸先輩方の歴史と功績があります。
世界で初めてX線CTの原理となるRotatographyの概念が東北大学から発表されたのが終戦直後の昭和20年、超音波研究を医学応用に発展させ、心臓の断層像を世界に先駆けて撮影したのは昭和30年代の東北大学のグループであり、東北大学の超音波研究はその後も世界をリードしています。
医工学は、学問領域として意識される以前に工学の中で発展を遂げ、私たちの日常に革新的な医学・医療をもたらしております。人工心臓や人工腎臓など人工臓器の開発は既に医療現場で身近なものとなっておりますし、生命体の持つ物理的、化学的側面を明らかにする試みは医学・生物学の飛躍的発展を支える基礎をなすものです。最近では培養細胞を基に人工臓器を実現しようとする試みが、再生医療工学、組織工学などの分野を形成するまでになっています。X線CT、MRI、超音波断層・診断装置、なども医工学による典型的な応用例です。
私たち医工学研究科の教職員は、科学と生活の架け橋となる工学を基礎に、医学・医療の革新的発達につながる教育・研究によって安全・安心な社会の実現を目指す強い意志を持っております。 また、本学医工学研究科に入学する学生も、我が国および世界において医工学の新しい分野を切り開いていくリーダーとなる意欲に満ちております。
本研究科は発足4年目の春を迎えましが、東日本大震災に被災した東北の地において、総合大学としての力により、未曾有の苦難を乗り越え、今まで以上に世界をリードする高いレベルの教育・研究を行うことで、東北・日本の復興に貢献し、さらなる飛躍をめざし邁進してまいります。そのためにもまだまだ皆様方のご理解、ご協力が必要な段階にあります。今後とも皆様のご支援・ご鞭撻をよろしくお願いいたします。
(平成23年5月)

